飛騨日日新聞

白川村の移住情報を

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2023.01.10

仕事も遊びも、この村らしく/和田幾太郎


移住して始めた、最上級の飛騨牛が味わえる店

夕暮れと共に店じまいをする店舗も多い白川村。そんな中で、夕食時も賑わいをみせるのが、鳩谷(はとがや)地区にある「飛騨牛食べ処てんから」さんです。焼肉や牛ひつまぶし、ローストビーフ丼など、極上の飛騨牛料理をいただくことができます。

「こだわりは5等級の飛騨牛。ブロックで仕入れて、一番良い部位をカルビに使うんや」。

そう語るのはてんからを営む和田幾太郎(いくたろう)さんです。

岐阜県郡上市出身で前職は石積みの職人。仕事で通っていた白川村で、偶然、現在の妻である美保さんと出会い、結婚を機に2005年に白川村へ移住しました。

「石積みの仕事は先行きが不透明だったのと、親戚の精肉店の肉を使った飲食店を開きたいと考えていて。店を開くなら妻が住んでいて、観光客も多い白川村かなって」。

独学で料理を学び、店をオープンしたのは2006年。2018年には席数を倍にリニューアルしました。現在は、美保さんをはじめご家族やスタッフ10人ほどで切り盛りしています。

(左から)飛騨牛ひつまぶし御前 1,700円、飛騨牛ローストビーフ丼 1,700円

店舗がある鳩谷地区は、観光客が集う荻町の合掌造り集落からはやや距離があるものの、絶品の飛騨牛を求めて足を運ぶ方も多くみられます。観光客はもちろん地元客にも、その上質な甘みと、とろける食感の飛騨牛は好評です。

「最近は、10歳の長男が〝将来てんからで働きたい〟って言っててね」。

そう言って、幾太郎さんは嬉しそうに微笑みます。

娯楽の釣りが、店の個性に

幾太郎さんの趣味は川釣り。実は、店名の「てんから」は、渓流釣りの手法のひとつです。

店内に飾られたてんから釣りで使用する釣り竿

釣りの腕前は雑誌に取り上げられるほどで、シーズン中の3~9月は週2、3回日の出とともに川に向かいます。

店内には、釣果の写真や剥製が飾られ、釣り好きにはたまらない空間です。シーズン中には幾太郎さんが幾太郎さんが釣ったイワナやヤマメがメニューに並ぶことも。

「釣りは宝探しみたいなものだね。綺麗な魚が獲れるのは何度やってもワクワクする。釣れなくても、良い景色の中で過ごす時間が好きだね」。

そんな釣り好きが高じて、10年ほど前からルアー作りにも挑戦。

木を削り、塗装し、針金をつけて…完成したルアーは、店内でも販売。まるでアート作品のように美しいルアーは、釣り好きならではのこだわりが詰まっていて、機能性も高く、店を訪れる釣り仲間にも好評です。

“結”の村だからこそ、自立が大切

「買い物とか豪雪とか、大変なこともあるけど、文句を言っても仕方がないよね。役場も村民の話を聞いて、よくやっていると思うよ。白川村で暮らすには、大変なことも、何かのせいにするんじゃなくて、自分で何とかできる人が白川村の暮らしに向いているんじゃないかな」。

元々仕事や趣味で村を訪れていたこともあり、村の暮らしに馴染むのは早かったという幾太郎さん。

お互いに助け合う〝結〟の精神が大切にされる白川村だからこそ、個々の自立が必要だと語ります。

そんな幾太郎さんは、この冬、店舗の脇にルアー工房兼ショップをオープン予定。

今冬オープン予定のルアー工房兼ショップ

仕事に趣味に、白川村に確かな根を張りながら、また新たな挑戦が始まります。


和田 幾太郎(わだ いくたろう)さん

岐阜県郡上市出身。白川村出身の妻・美保さんとの結婚を機に、白川村に移住。現在は「飛騨牛食べ処 てんから」を営む。特技は川釣り。

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