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2021.04.13

【座談会】豪雪と闘い暮らしを守る、白川村の建設会社


多いときには人の背丈を優に越える2メートル以上もの積雪を記録する豪雪地帯白川村。延々と降り積もる雪で村一帯が覆われます。そんな冬の村の生活道を守るのは、村内8社の建設会社。毎年初雪が降る11月から3月上旬には、土木の仕事を休み、除雪作業に専念します。除雪の裏話や赤裸々なトークが満載の、建設会社3社による特別座談会をお届けします。
[プロフィール](写真左から)
沢田康仁(さわだ・こうじ)/ 沢田建設株式会社
中森孝博(なかもり・たかひろ)/ 御母衣建設株式会社
坂次正行(さかつぎ・まさゆき)/ 小坂建設株式会社

まず初めに自己紹介をお願いします。

沢田 沢田建設の沢田康仁です。除雪歴は26年かな。

中森 御母衣建設の中森孝博です。除雪歴は20年くらいです。

坂次 小坂建設の坂次正行です。僕は高速の除雪をしていたことはありますが、白川では除雪歴3年。まだ初心者マークのほやほやです(笑)。うちは除雪をするのは1人で、誰も教えてくれる人はいないので、現場に出て勉強中です。

沢田 それはすごいな! 1人なんや。

坂次 ずっと気が張ってるから、すごく疲れるよ。孤独との戦い。その分の責任感はある。誰のせいにもできないからね。

沢田 最初の頃は緊張したよなあ。一人前になるまではどれくらいかかったかな?

中森 1人で任せられるのは5年かな。除雪車には誰でも乗れるけど、雪の状態や道路のことを覚えるとなると5年ですね。いろんな雪の降り方を経験してね。

沢田 数えられないくらいのパターンがあるよな。

中森 みんな自分の担当区域は目をつぶってでもできるんじゃないかと思うくらい、ガードレールや道路標識の位置とか全部把握してますね。

沢田 自分の担当区域は完璧に把握しているけど、他の区域はようやらんね(笑)。

除雪は何時からスタートしますか?

沢田 朝3時に起きて、雪の状態を確認してみんなに電話で出動の連絡をする。除雪作業がスタートするのは4時くらいかな。

中森 うちは3時出発。2時に起きて、現場を一通り確認する。御母衣から荘川まで行くんですけど、一度行って帰ってきて積雪の状態を確認したら、みんなを電話で起こす。

坂次 うちもそれくらいだな。基本的には、担当区域が通勤や通学の人が通行し始めるまでに終わるように。そこから逆算して、雪の量によって3時の日もあれば、4時の日もある。

沢田 沢田建設の担当区域は白川郷学園の通学路が含まれているから、特に子どもたちのことが気にかかる。もし、歩道が雪で通れなくて、子どもが車道に出でしまったら事故にもつながるから。

坂次 スクールバスが通るまでには絶対仕上げるようにしてるな。

中森 どうしても間に合わない時はひとまず1車線を開けるんです。片道15kmくらいの区間だから、全部やってると間に合わないんですよね。

それだけ朝が早いと生活のリズムも変わりますよね。

沢田 冬の期間だけは完全に除雪に合わせた生活リズムになりますね。

中森 21時にはもう寝てしまうかな。

坂次 天気予報で翌日降らないとわかったときは爆睡ですよ(笑)。

中森 大体、Yahooとお天気.comとウェザーニュース、3つのお天気アプリを確認して、あとはその時の振り方を見ればだいたい翌朝の積雪の様子が想像つく。年によって当たるアプリが違うんだよね。

沢田 でもさ、毎日起きてると除雪ない時でも目覚めるよな(笑)。目覚ましより先に起きちゃう。

中森 わかる、わかる。この感覚がもとに戻るまでは1週間くらいかかるんだよね。曜日感覚もなくなる。

沢田 冬の時期は決まった休みはないし、今年は大晦日も正月も出動してたもんなあ。

中森 僕は過去に家族旅行中に大雪になることが分かって、目的地に着いてすぐに除雪のために一人だけ帰ってきちゃったことがあるよ。もうお父さんとは旅行行かないって言われた(笑)。

白川村の除雪の技術力は非常に高いと聞きました。

中森 直接言われたことはないけど、白川は除雪がきれいみたいだよね。10年くらい前までは業者間で差があったけど、最近はどの業者でも技術力がかなり高い。

坂次 それはあるかもしれない。アスファルトが見えるまで除雪するところは他の地域ではほとんどないんじゃないかな。

沢田 僕は高山出身だけど、高山と比べても全然違う。でも、それは技術力の高さだけではなくて、雪を捨てる場所があるからだと思うんだよね。

中森 高山には雪捨てる場所がないもんね。

沢田 そうそう、除雪をしても雪を除ける場所がないから沿道に溜まっていってしまう。その点、白川は田んぼや使っていない土地を村民が無償で提供してくれるから、僕たちも雪を捨てに行けるんだよね。

除雪を続けられている原動力はなんですか?

中森 それはもう仕事だからとしか言いようがないよなあ(笑)。

沢田 村のみんなの生活に直結するから休むわけにはいかない。

坂次 村民の生活を守るという、使命感かな。

沢田 昔は40歳も過ぎれば、除雪作業は若手に世代交代できたけど、今はもう平均年齢が40代くらいになってきている。人数が多かった時は交代制でできたけど、今は1人が12時間除雪し続けることも少なくない。会社も減ってるから担当区域も広くなったしね。

中森 そもそも建設業界に入ってくる若い人がいないですよね。飛び込んできたとしても、経験がいるから時間がかかる。大変な仕事だけど、みんな責任感を持ってやっています。どんなに夜中に電話しても電話に出る。中には寝ぼけている人もいるけど(笑)。

沢田 そうやな。昔に比べれば機械がよくなって、ずいぶんと除雪しやすくなってるから、僕は結構楽しんで乗ってます。除雪中に子どもたちが手を降ってくれたり、地域の方が温かい缶コーヒー差し入れてくれることとか、励みになりますよね。今年もあともう一息かな!

みなさん、本日はありがとうございました!

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