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2023.10.20

自然と人がもてなす、リニューアルした城山館


白川郷バスターミナルから通りを挟んで西向かいにある「城山館」さん。大正時代に開業した、130年以上の歴史がある宿です。

そんな由緒ある旅館が、2023年4月にリニューアルオープン。重要伝統的建造物に選定されている外観はそのままに、館内の一部を改装。より洗練された空間へと生まれ変わりました。

早くも国内外から多くのお客様が訪れ、村内でも密かに話題となっている「城山館」さん。一体どのようにリニューアルされたのかを、見学させていただきました。

“自然と人がつくるたわむれの宿”

玄関で靴を脱ぎ、まず案内されたのは、窓から覗く庭園の緑が眩しいダイニングスペース。客室だった畳の部屋を作り替えた広々とした空間は、飛騨の家具や無垢材の床で木のぬくもりが感じられながらも、落ち着いた雰囲気となっています。

城山館さんがリニューアルに取り掛かったのは2021年の暮れのこと。コロナ禍で客足が遠のく中、年季が入っていた館内の設備を改め、新たな心持ちで旅館を営もうという覚悟からでした。

城山館さんは現在、4代目となる館主である松古卓也さんご夫妻とその息子さん、2人の娘さんご夫妻と孫たちという総勢10人のご家族で切り盛りされています。リニューアルにあたっては家族全員が意見を出し合いながら、方向性を決めていきました。

話し合いの末、辿り着いたコンセプトは「自然と人とがつくるたわむれの宿」。素朴で、時にやさしく、時に厳しい自然とともにある白川郷の暮らしを、宿を通じて感じてほしいという想いがこめられています。

館内は、シンプルな和モダンの雰囲気で統一。若女将である長女のゆきさんが自ら山で採取してきた木々や花々が生けられていて、アクセントになっています。自然とのふれあいを大切にしているからこそ、余分な装飾が削ぎ落とされた、洗練された空間となっています。

贅沢に自然を堪能できる、お風呂や客室

今回のリニューアルで大きく変わったのは、ダイニングスペースとお風呂、そして客室。

まずはお風呂を見せていただくと…

まるで絵画のように鮮やかな緑が目に飛び込んできます!

大きな窓が誂えられたお風呂は、木曽桧(ひのき)の浴槽で香りも爽やか。明治時代以前から湧き出ているという水を使用していて、肌あたりがとてもやわらかくなっています。

城山館さんのお風呂は 10年以上前に豪雪で倒壊して以来長く使われておらず、お客様には近くの「白川郷の湯」さんを利用してもらっていましたが、今回思い切って改装。クラウドファンディングでの支援もあり、とても魅力的に生まれ変わったのです。

新しくなった2つの桧風呂はどちらも貸し切りで利用できるので、壮大な景色を眺めながら、ゆっくりと身も心も癒すことができます。

続いては、4つの和室を2つの洋室に作り替えたという、広々とした客室へ。

1名様料金(2名様1室利用時)29,500円~

こちらも大開口から光が降り注ぎ、庭や山の木々や、眼下を悠々と流れる庄川を眺められ、とっても気持ちいい空間です…!

部屋にテレビなどはありませんが、だからこそ、自然を目の前に、“何もしない”という贅沢を楽しむことができます。

客室の壁の一部には、荻町の合掌造り集落と一緒に世界遺産に登録された五箇山(富山県南砺市)で古くから作られている五箇山和紙を使用。なんと、1枚ずつ手貼りしたそう!こうした伝統的なものや古いものを随所に取り入れたり、残しているため、ただ新しく、綺麗なだけではない趣が感じられます。

そして、自然を身近に感じられる宿だからこそ、自然環境のことも自分ごととして考えてほしいと、ゴミの分別にもひと工夫。カゴを活用したゴミ箱は、イラストが描かれたラベルがつけられ、誰でも細かな分別ができるようになっています。

訪れるたびに楽しめる、地の恵みを生かした食事

宿の楽しみといえば食事ですが、リニューアルを機に料理の内容も見直されました。

以前は飛騨牛などこの地方の観光地の定番料理を提供していましたが、リニューアルを機にできるだけ白川村で採れた山の恵みを生かした料理を出すことに。

館主の卓也さん、長男の哲さん、次女の夫である雅幸さんの3人の料理人が、毎日山や川へ向かい、山菜に川魚、ジビエといった食材を集めて腕をふるいます。そのため、あえて料理のメニューは公開されておらず、お客様はその時々の旬の料理をいただけるのです。

料理は一品一品サーブされ、料理人から直接説明を受けながら味わえます。白川村の里山や郷土の文化に想いを馳せながら、食材や料理にじっくりと向き合いながら食事ができそうです。

ナチュラルワインや、クラフトビール、地酒、地ウイスキーなど、長女ゆきさんの夫である三輪了(さとる)さんが厳選したお酒とのペアリングも楽しめますよ。

***

この他にも、新たな宿の活用方法として、旅×フォトウェディングもスタート。白川村の伝統的な集落や大自然の中で撮影しながら、宿でゆっくりと過ごすことができます。さらに、ダイニングスペースを使ってワークショップを実施するなど、さまざまな新たな試みも行っています。

リニューアル前からたくさんのファンがいらっしゃった城山館さん。昔の姿を名残惜しむ常連さんもいたそうですが、実際にここを訪れると、その心地よさに驚かれ、とっても満足して過ごされるそうです。

「リニューアルによって、それまでも抜群だった家族のチームワークがより生かされ、それぞれの強みが発揮されるようになりましたね」と、館主の卓也さん。 

この宿を目的地に、白川村を訪れる人が、これから増えていくことでしょう。

城山館

住所/岐阜県大野郡白川村荻町1168-1

WEB/https://shiroyamakan.jp/

Instagram/@shiroyamakan

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