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2022.10.07

【対談/移住ってどう?】移住と空き家


移住に関するさまざまなテーマで対談する「移住ってどう?」。今回は、空き家対策を積極的に行う岐阜県八百津町(人口約1万人)に、白川村役場の職員と村内の移住事業に取り組む一般社団法人ホワイエのスタッフが伺いました。

小島将司(こじままさし)さん

八百津町役場地域振興課。空き家バンクの管理や記事の執筆を担当。

小関弘翔(おぜきひろと)さん

白川村役場観光振興課。村の移住施策や空き家対策を担当。

柴原孝治(しばはらこうじ)さん

一般社団法人ホワイエ代表理事。村からの委託で移住関連事業を行う。

八百津町の空き家に対する取り組みは?

小関:八百津町の空き家バンク「ほぼ山不動産」では空き家が上手く流通していると感じますが、どう取り組まれたのでしょう?

小島:ありがとうございます!本格的に取組みを始めたのは2016年です。まずは建設課と協力して水道メーターが止まっている家を洗い出し、通知を送りました。実際に目視でも確認し、地図にチェックを入れて、一軒一軒地道に。

小関:実際に見て回るのはどれくらいの期間がかかりましたか?

小島:1年目は1ヶ月くらいですね。現在は毎年家主宛に納税通知と一緒に空き家バンクのチラシとアンケートを送っています。

小関:白川村でも全世帯に空き家の所有を確認するアンケートを実施していますが、空き家バンクは住民の申し込みがベースで、登録という流れになっています。住民が所有する物件が空き家かどうかはこちらでは最終判断ができないですよね。

小島:そうですね。私たちも何度か訪問して、空き家かどうかを確認しています。実は住人がいる、ということもありますね。

柴原:白川村でも広報などで周知していますが、納税通知と一緒に送ると、村外の所有者にも届くのがいいですね。アンケートの内容も、空き家バンクへの登録を導くような形になっていて、効果的だなと感じます。

小関:実際に返信はどれくらいあるでしょう?

小島:返信は約半数来ますが「空き家ではない」という回答も多いです。空き家バンクへの登録を検討しているのは4分の1くらいですかね。

柴原:それでも多いですよね。実際、空き家の掲載数も多いですし。物件や土地の情報がわかりやすく紹介されていますが、どなたが書かれているんですか?

小島:現在の掲載数は、累計200軒近くになりましたね。記事は担当職員が書いていますがなかなか大変ですね…!(笑)

小関:町内で「空き家の対策をしてほしい」という声があったわけではなく、役場から働きかけて空き家バンクが始まったと伺いました。

小島:そうですね。でも、最近は実績ができてきたので、住民からの情報提供が増えました。

小関:空き家の選択肢があると移住希望者にとってもメリットになりますよね。実際に移住の問合わせは増えましたか?

小島:増えましたね。ここ数年は年間150件前後あります。

小関:多いですね!白川村も移住相談はありますが、紹介できる物件が少ないのが課題です。人口が年々減少しているので何か手を打ちたいと危機感は持っているんですが…。

小島:でも、白川村は全国的にも知名度が高いので、注目されるのではないですか?

小関:観光地としては有名ですが、生活する場所としてはなかなか…。だからこそ、まずは住む場所を整えたいです。

移住者が住みやすい物件は?

柴原:八百津町は賃貸の物件は多いんですか?

小島:家主さんにメリットがあまりないので、少ないですね。

小関:でも実際、移住していきなり空き家の購入というのはハードルが高いですよね。

柴原:特に、女性が移住して一軒家で暮らすことは厳しいなと感じます。高齢の方も、一軒家で一人で暮らしていくことは大変ですし、何年後かには空き家になることも考えられますよね。

小島:高齢の方も、一軒家で一人暮らしするよりも、ワンルームくらいの程よい広さの家に移り住んで、空いた家は他の人に住んでもらう方がいいのでは、とも考えます。

柴原:移住体験ができるシェアハウスは滞在できる期間が決まっていますが、その後に移り住める家がなかなかすぐに村内では見つからない状況です。本当はシェアハウスから次のステップに移ってもらって、定住してもらえるといいですね。

地域と移住者の関わり方

小関:白川村でも一人で暮らしやすい賃貸住宅の誘致を考えていますが、アパートなどができて、地域に知らない人が移り住むことに抵抗がある方も多くて。

柴原:白川村は村民と行政の距離が近い分、一人一人に柔軟に対応してもらえる部分は良いところだなと思いますが、一方で、すぐにメリットを感じにくい移住政策のような取組みは、抵抗感がある方がいると進めにくいかもしれませんね。

小島:そうなんですね。八百津町も地域によって色々ですが、抵抗を持たれる方もいますよ。やっぱり初めのうちは見知らぬ人が歩いていると住民も戸惑っていましたけど、移住者が多く暮らす地域ほど、抵抗感は薄れていったかなと思います。

小関:家賃や通勤に対しての助成、分譲地の造成など、移住に向けた制度は色々と整えていますが、まずは住む場所を確保したいので、村民の理解を進めていきたいです。

小島:白川村は制度が充実していて、こちらも今回勉強になります。

小関:それと、移住希望者はゆっくり自然の中で暮らすイメージをする方もいるんですが、実際は地域の活動が忙しいことも多くて。八百津町の移住者でもそのようなことはありますかね?

小島:うちでも同様のことはあるので、移住者には事前にしっかり説明して、まずは「先に挨拶するように」と伝えています。意外と移住者は喜んで、地域活動をされているみたいです。地域の方も徐々に移住者に慣れてきていますね。白川村では色々と前向きに進められているので、移住にも徐々に結びついていくのではと思います。

小関:私たちも八百津町の取組みを聞いて、参考にできそうなアイデアをたくさんいただけました。まずは空き家の把握に向けて動いてみます。本日はありがとうございました!

今回の対談会場

岐阜県加茂郡八百津町の役場にて実施。八百津町では、物件をわかりやすく紹介する空き家バンク「ほぼ山不動産」や、地域おこし協力隊のミッションを町での起業とするなど、特色ある移住施策を行っている。

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