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2024.01.17

【座談会/移住ってどう?】村の教育を担う、白川郷学園


移住に関するさまざまなテーマのトークをお届けする「移住ってどう?」。今回は白川村唯一の学校であり、小中一貫の義務教育学校であ る「村立白川郷学園」(通称“学園”)に勤める3人の先生に、村の教育についてお話を聞きました!

春見(かすみ)拓哉さん
飛騨市出身。白川郷学園は3年目で9年生の担任。 家族で白川村に移住。

黒岩由季さん
高知県出身。 白川郷学園は初任校で3年目。 7年生の担任。赴任に伴い、現在は白川村に住む。

水野礼菜(あやな)さん
白川村荻町出身。 白川郷学園は3校目で3年目。 養護教諭。

春見 赴任前は飛騨市の学校にいたので、知り合いの先生から「地域との関わりが強い学校」とは聞いていました。最近は働き方改革に伴って教員が地域と直接関わる機会は少なくなっていますが、白川郷学園はそういった流れとは一線を画する方針ですね。保護者はもちろん、多くの地域の方がそういった学園の考え方を理解されていて、とても協力的です。

黒岩 私は高知県出身で、岐阜の大学に通っていたのですが学園の前知識はほぼありませんでした。赴任して感じることは、学年を超えた繋がりが強いことです。1年生と9年生が教室を行き来することも珍しくないですね。クラス替えがないので、他学年の授業をこどもたちが見学しあって、授業の様子や学ぶ姿勢を知る取組みもあります。

水野 私は白川村出身ですが、子どもの頃はまだ白川郷学園はなく、村の小中学校は別々でした。でも村民全員が親戚みたいなので、学年の壁がない雰囲気は昔からありましたね。

春見 教員自身も、担任以外の子どと関わることが多いですね。以前は自分の受け持ちクラスが「自分の生徒」という認識が強かったのですが、ここでは他の学年の子も慕ってくれるので、自然と「学園の子ども全員が自分の教え子」と思うようになりました。

春見 各学年で村民学の方向性は決まっていますが、具体的な内容は個々のクラスで考えます。私が担任する9年生の今年のテーマは「住み続けたい村」。観光客の多い白川村を住みやすくする方法の一つとして、観光客のゴミ捨てマナーの向上について考え、実践しています。課題設定や何をどう取り組むかも、全て生徒主体で決めています。

黒岩 私が担任する7年生は「担い手学習」に取り組んでいます。村にUターンして新たに事業を始めた人から、村外で活躍する陸上自衛隊員まで、生徒が興味を持った“挑戦している人”に話を聞きます。

水野 学園と地域を繋ぐ「ふるさとアドバイザー」をはじめ、村民学は地域の方の協力で成り立っていますね。私も村出身なので、村の方を紹介することもあります。でも、子どもたちから村のあの人に話を聞きたい、となるのは大人と子どもの距離が近い白川村ならではですよね。

春見 村民学以外でも部活動を指導する方がいたり、サークルで年代関わりなくいっしょに活動したりと、接点が多いですよね。私自身も、どぶろく祭で自分の子どもを連れて行った時に、学園の生徒たちが自然と遊んでくれて、人と関わることに躊躇がない子が多いのだと改めて感じました。

黒岩 ICT教育にも早くから取り組んでいるので、タブレットでの資料作成やプレゼンも得意な子が多いですね。

春見 一方で、少人数なのでどうしても学習面では切磋琢磨しにくい雰囲気があります。もう少し学習環境を整えたいです。

水野 生まれた時からずっと自分のことをよく知る人に囲まれていて優しい子が多いのですが、高校で環境がガラッと変わるので戸惑う子もいますね。

黒岩 関わる人の多様性が限られるので、村外との接点を意識的に作っていますよね。6年生を「ジュニア観光大使」に任命して、全く違う環境で育った修学旅行生を案内したり、事前に交流する取組みも行っています。

黒岩 私はプライベートでも親しくなった方に山登りやスノーボードに誘ってもらうなど、村ならではの人付き合いのありがたさを感じています。教育でも、村の方との繋がりを大切にしたいですね。誰でも学校見学できる「地域公開日」には、近所のお年寄りも来てくれます。学園だけでなく、村の方と一緒に子どもたちを育てたいです。

春見 教師が子ども一人ひとりに向き合える強みを生かしつつ、学習面など改善すべき部分を補っていきたいです。

水野 一般的な学校の良さと学園の強みが合体した、ハイブリッドな教育ができる学園にしていきたいですね!

今回の会場

白川小学校と白川中学校が統合し、2017年に開校した白川郷学園。「ひとりだち」を教育目標に、自立、共生、貢献の資質を育む9年間の連続性を生かした教育を行っています。

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